<採取・飼育に関して>

●採取・飼育・輸送・許可等について

<クマノミ・イソギンチャクに関して>

●クマノミのエサ・餌付けについて

●クマノミとイソギンチャクの共生の組み合わせについて

●天然ペア(ファミリー)について

●クマノミ類の混泳・ケンカについて

●クマノミ類の病気について

●クマノミ類の繁殖について

●イソギンチャクのエサについて

●イソギンチャクの大きさについて

●イソギンチャクのレイアウトについて

●イソギンチャクの移動(徘徊)について

●届いたイソギンチャクを水槽に移す方法について

●イソギンチャクの扱いについて

●イソギンチャクの状態について

●イソギンチャクと魚類(クマノミ類以外)との混泳について

●違う種類のイソギンチャクは一緒に飼える?



<ライブロックに関して>

●ライブロックのキュアリングについて

●ライブロックに潜む、カニやシャコなどの害生物の駆除について

●ライブロックのレイアウトについて



<ソフトコーラル・シャコガイ・イソギンチャク・海藻/海草に関して>

●ソフトコーラルの種類と飼育について

●イソギン・シャコガイ・ソフトなどのカラーバリエーションについて

●ソフトコーラルのポリプについて

●イソギンチャク/ソフトコーラルの水流について

●シャコガイのレイアウトと活着について

●海藻/海草の育て方について



<掃除生物・海水浄化生物に関して>

●コケ取り貝について

●底砂の掃除生物について

●海水浄化生物について

●底砂の撹拌について



●正規品
・取扱い商品は、漁業権/有資格/公的許可の下、法令や規則を順守し採取され販売する正規の品物です。
・権利:共同漁業権/特定区画漁業権(権利主体:漁協)
・資格:漁協組合員
・許可:沖縄県漁業許可

※無資格無許可の密漁品や出所不明な産地偽装品にお気を付けください!
「密漁品を正規品」や「外国産を沖縄産/石垣産」などと偽る行為が横行しているようです。


●飼育
・天然海水/太陽光で飼育しています。
「天然海水の微生物/微量元素」や「太陽光の紫外線の殺菌作用」などには、
どれほど「良質の人工海水」や「高性能な照明」でも適わない、自然の力があります。【沖縄石垣島の天然海水】

・エサをたっぷり与えています。
天然海水がどれだけでも使えるおかげで、残りエサや排泄物による水質悪化を気にせずに、エサは食べたいだけ食べられるくらいにたっぷり与えています。
いつもおなか一杯なので基礎体力があり、「病気になりにくく」「輸送の疲れにも強い」です。
また、
当店では、おろそかに扱われがちなクリーナー生物にもしっかりとエサを食べさせています。
通常はショップのように多数のクリーナー生物をストックしていると、水槽内に発生するコケや残飯だけでは、栄養不足になります。
クリーナー生物は、「どこで買っても同じようなものだろう」と思われがちですが、そうでもありません。

・クマノミとイソギンチャクを共生させて飼育しています。

イソギンチャクは、伸びたり縮んだりしながら、体内に新しい海水を取り込んだり、老廃物を出したり、受ける光の具合を調整しています。
クマノミが触手の中を動き回ることでそれらが促進されると思います。
クマノミは、共生させることで、ほとんど病気にかかりません。(下記参照)

●採取
当店のイソギンチャクは、全てハンドコートで採取されています。
「ハンドコート」とは、薬物などで弱らせて捕まえる方法でなく、くっついている岩を削ったり、ヘラなどで剥がして捕まえる方法の事です。
手間はかかりますが、生体へのダメージが少ない方法です。

ハンドコートと言えど、漁師によって、捕り方や丁寧さは大きく異なります。
当店では、海中という悪条件下、特に採取の難しいハタゴでも、触手が一本も千切れないくらい慎重に丁寧に採取されます。

採取後は、個体ごとに容器を分けて運搬されます。
採取/運搬のダメージは最小限でイケスに移されます。
トリートメントはほとんど必要なく、翌朝には海中にいる時と変わらないくらいフワフワの状態で即出荷できるくらいです。
実際には即出荷することはありません、最短でも一週間程度はトリートメントします。
海中での採取前の様子

海中での採取直後の様子

船上での運搬中の様子

イケスでの採取翌朝の様子

●品質
誰が何処でどのようにして採取したのか分からないような個体は扱っていません。
常に同じ手法で採取しているので、個体ごとの品質の差がほとんどありません。



●クマノミのエサ・餌付けについて

クマノミ類は人工飼料に餌付かない個体はいないくらい餌付けの簡単な種類です。
ほぼ全ての個体が入荷してから数日で餌付きます。
当店で与えているエサは、フレーク状や粒状の物です。

飼育環境やエサの種類が変わると、慣れるまでの数日間は何も食べないこともありますが、
人で例えると「一食ぬいた」程度のことで、健康への害はほとんど気にしなくても大丈夫です。



●クマノミとイソギンチャクの共生の組み合わせについて

海中での共生の組み合わせは、ほとんど例外なく決まっています。

カクレクマノミとハタゴ・センジュ
クマノミとシライト各タイプ・イボハタゴ・アラビアハタゴ
ハナビラクマノミと触手ロングタイプシライト・センジュ
セジロクマノミとアラビアハタゴ
ハマクマノミとタマイタダキ
(沖縄以外の海でのことはわかりません。)

飼育下でもこの通りの組合せが望ましいですが、
飼育環境や好みなどもあるので、異なる組み合わせの共生も「あり」かと思います。

異なる組合せでもちゃんと共生するかどうかは、実際にお見合いしてみないとわかりません。

当店では、様々な組合せで飼育していますが、共生するまでに数日かかる場合はあっても、ほとんどは共生しています。

1つのイソギンチャクに対して、1ペアまたは1ファミリー1種類との共生が基本です。
1つのイソギンチャクに、複数のペア・ファミリーや異なる種類のクマノミ類を共生させるのは良くありません。



●天然ペア(ファミリー)について

クマノミ類の天然ペア(ファミリー)は、海中で一つのイソギンチャクに共生していたものです。
雌雄及び血縁及び仲の良さは必ずしも定かではありません。
ペア(ファミリー)でもケンカすることもあります。



●クマノミ類の混泳・ケンカについて

クマノミ類に限らずケンカをする魚は珍しくありません。
ケンカをする理由は、主に縄張り争いです。
縄張りを持つ習性の魚は程度の差はありますがケンカをします。
これは本能ですので変えられません。

しかし、水槽内でもうまく縄張りさえ確保できれば混泳できるはずです。
ヤッコ類もチョウチョウウオ類もケンカしますが、それらの縄張りの範囲はどうなっているのでしょうか?
クマノミ類の縄張りはイソギンチャクの周囲です。
クマノミ類は縄張りの範囲が狭く分かりやすいのでうまく混泳させやすいように思います。
それぞれの個体/ペア/ファミリーにイソギンチャクを与えてやることで混泳できる可能性が高くなります。

特にケンカになりやすいのはメス同士で、メスは体も大きく力も強いので相手に与えるダメージも強く、半殺しにするまで激しくケンカをします。
一つのイソギンチャクには一匹のメスしか共生しないことから、一方を完全に排除する為だと考えられます。
大抵、どちらかが圧倒的に強い場合が多く、途中でおさまることなくすぐに勝負はつくので、すぐに隔離しなければいけません。

オス同士のケンカは、サイズの近いもの同士が、優劣を比べるようなケンカで、メス同士ほどには激しくありません。
一つのイソギンチャクに複数のオスが共生できるので、優劣の勝負がつき群れの中での順位が決まるとおさまることもあります。

明らかにサイズが異なる者同士がケンカをすることはあまりありません。
3cm以下程度の小さい個体同士もよくケンカをしますが、相手に重症を負わせたりする程の力はなく、多数での混泳がやりやすいです。



●クマノミ類の病気について

クマノミ類がよく罹る病気はトリコディナ症です。
海水魚の代表的な病気の白点病にはほとんどかかりません。

罹らないようにする秘訣はイソギンチャクと共生させることです。
「イソギンチャクの刺胞毒で病原菌をやっつけるのか?」
「刺胞に刺されないクマノミの粘膜に秘密があるのか?」
は、分かりませんが、
共生させることで、ほとんど病気にかかりません。

当店では、共生させて飼育していますので、ごく稀にかかっても全て自然治癒します。
薬品類での治療は一度もしたことがありません。

共生して飼育していない個体が発症してから、治療の為に共生させようとしても、体表に病気を持った状態では刺胞に刺されてイソギンチャクに入れないことがあるので、治療の為に共生させる方法は使えないです。
予防の為の共生です。



●クマノミ類の繁殖について

海中での繁殖期は、水温の高い3~10月くらいで、その間に何度も産卵するようです。
11~2月の水温が低い時期はあまり産まないようです。

7cm位から産卵するようです。
健康的に少し太っている位が良いようです。
オスのサイズは、5~6cm位です。

イソギンチャクとの共生は当然させたほうが良いです。
クマノミとイソギンチャクが健康に飼育できていれば勝手に繁殖することでしょう。
共生の組合せは、本来の組合せが良いでしょう。
イソギンチャクの大きさは、20cm以上あるほうが良いでしょう。



●イソギンチャクのエサについて

海中では、
ハタゴとイボハタゴは、捕食しているのを見ることがあります。
近くに寄って来て偶然に触手に触れた、小魚や甲殻類や貝類などを捕らえているようです。
センジュやシライトやタマイタは捕食しているのを見たことがありません。
センジュやシライトやタマイタのあの触手では、動く獲物を捕らえる力はないでしょう。
浮遊物が、偶然に触手に触れたら「食べるかもしれない」程度だと思います。

飼育下では、
光合成の栄養で、問題なく元気なら、定期的に定量の餌を与えなくても良いと思います。
センジュやシライトやタマイタは、「必要ない」と言ってもよいくらいです。
ハタゴやイボハタゴでも、消化しやすそうな物を少量、たまに与えてやる程度で十分だと思います。
但し、小型のハタゴやイボハタゴは光合成の栄養に加えて、エサによる栄養の補充にも依存するようなので、「早く大きく育てたい場合」や「栄養不足(光量不足)で小さくなる兆候がある場合」は、適宜エサを与えたほうが良いでしょう。
しかし、与えすぎると、与えた時は食べても、数時間後、嘔吐します。



●イソギンチャクの大きさについて

一般的な水槽で飼いやすい10~30cmの個体に人気があります。

海中で見る、各種の平均的な大きさは、
ハタゴ:20~30cm前後
イボハタゴ:20~30cm前後
センジュ:40~60cm前後
アラビアハタゴ:30~50cm前後
シライトは、2タイプいて、
「浅場に棲む触手がそれほど長くない15~20cm前後の種類」と「触手が長い25~40cm前後のタイプ」。
タマイタダキは、20cm前後の個体が多いですが、インリーフには、10cm前後の分裂個体が多く見られます。
一カ所に密集していますので、一見、一つの大きな個体に見えます。

センジュが最も大型種です。
1m位の個体も普通に居ます。
宅配便で送るには、無理があります。
40cm位が宅配便で送れる限界の大きさです。

当店で取り扱っているイソギンチャク類は、水槽で飼育するのに適度なサイズを厳選して採取されています。



●イソギンチャクのレイアウトについて

イソギンチャクは、基本的に砂地にはいません。
一見、砂地に生息しているようでも、ただ砂地に刺さっている訳ではなく、足盤は必ず砂に埋まっている岩や礫に活着しています。

イソギンチャクは、外敵や台風などから身を守る為に、岩の隙間に潜るように縮む習性があります。
ですので、それができるようにレイアウトしてあげるのが良いと思います。
ウミキノコのような感じのラッパ状になるのは不自然な感じがします。



●イソギンチャクの移動(徘徊)について

種類によって差がありますが、イソギンチャクはお気に入りの場所を探し回り水槽内を移動(徘徊)します。
お気に入りの場所を探し当てたら、しばらくはそこに留まるでしょう。
でも、水槽の裏やガラス面に落ち着くと困ります。
剥がして動かすのではなくて、「そこにいるのが不愉快で移動したくなるように」「不都合な場所に行こうとしないように」仕向けたほうが良いです。
「ポンプの吸入口に吸い込まれたり」「不安定な岩組を崩されたり」には注意してください。



●届いたイソギンチャクを水槽に移す方法について

届いたイソギンチャクを水槽に移す際、長時間にわたり奮闘されている方もおられるようです。

普通の水合わせでいいと思います。
中には数時間かける方もおられるようですが、慎重にこしたことはないですが、
狭い袋の中より、極端な水質差がなければ、早く移したほうが良いようにも思います。

その際、
触手には触れないようにしましょう。
体壁や足盤は触っても大丈夫です。
もし、触手がくっついてしまった時に、振り解こうとすると余計にくっついてきたり、触手にダメージを与えてしまいます。
こちらはじっとして、イソギンチャクから離そうとすることに期待して待ちます。
(離してくれないこともあります。)
(刺された自分よりイソギンチャクを優先するかどうかは・・・)
また、
ビニール袋に活着している場合は、剥がさないといけません。
葉っぱで包んである餅・・・の葉っぱを綺麗に剥がす。
餅(イソギンチャク)から葉っぱ(袋)を剥がず際、変なところ(触手)をさわってしまうと、ベタベタくっついて収拾がつかなくなります。
くっついている所(活着面)に爪を入れて、葉っぱ(袋)をつまんで引っ張れば、自重で勝手に剥がれてくるイメージです。
たいていの場合は、結構すんなり剥がせますが、
剥がれにくい場合や出来そうにない場合は、無理をせず袋を切り取って、そのまま袋の破片ごと水槽に導入するほうが無難です。
あとは、破片から移動してくれるのを待つほかないでしょう。



●イソギンチャクの扱いについて

ハタゴやイボハタゴは毒性や粘着力が強い為、採取や取扱が困難な種類でもあります。
生体としてはとても丈夫な部類ですが、扱い方が難しい為、
採取~問屋~小売店~顧客の流通過程で不慣れな者に何度も剥がされたり触手を千切られたりなど、イジクラレスギテ状態が悪くなるケースが多いようです。
よほど慣れた者でないと、刺されないようにするのが精一杯でしょう。

環境変化には強いですから、ストック中や輸送中の水質・水温の変化で状態が悪くなるというケースは実は少ないです。
(極端な話、バケツで1~2日放置しても、弱った様子はありません。)



●イソギンチャクの状態について

一般には、イソギンチャクの状態の判断する時、口の開閉の具合をとても重視されるようですが、
私どもが判断する時、口の開閉の具合は、それほど重視しません。
それはイソギンチャクはもともと、ちょっとしたことで口が開閉する生き物だからです。

例えば、触手に何かエサとなりうる物が触れ捕獲したら、うまく触手を動かしながら、それを口へと運ぶのですが、
そのような時にも、口が開き、口の中の内壁ようなような物が、盛り上がってきます。
そうとは知らずにそれを見ると、異常だと驚くかもしれません。

そのような行動は、捕食の時に限らず、排泄の際にも行います。
イソギンチャクの口は、口でもあり、肛門でもあるからです。

触手の伸縮具合も同様で、ちょっとしたことで伸縮します。
伸びたり縮んだりしながら、体内に新しい海水を取り込んだり、体内の老廃物を出したりしています。

また、輸送中の袋の中で、商品画像のような綺麗な形を留めていなくてもおかしくはありません。
ひっくり返っていたり、小さく丸まっていたり、力なく広がっていたり、口が開いていたり、膨らんでいたり、浮かんでいたりは、するものです。
袋を揺するだけで、途端に形は変わります。

例えば、輸送中に激しく揺れると、袋の中の水は、洗濯機のように ぐるぐる になることもあるでしょう。
そうしたら、イソギンは、たまらず、ぐっと縮まります。
触手や体壁は急激な伸縮ができても、それほど急激には縮めない内壁のような箇所は、行き場がなくなり、口から溢れたようになります。
触手も破れて萎んだ風船のようにみすぼらしくなります。

また、撹拌されて大量に空気(酸素)が混ざった、泡のような水を飲み込み、体内に空気が溜まって、膨らんだり、浮いたりすることもあります。

それらは、充分に起こりえることですが、箱を開けた途端、そうとは知らずにそれを見たら驚くかもしれません。

口の開閉の具合や触手の伸縮具合が変わる度に、気にしていたらキリがありません。
一時的な開閉具合や伸縮具合で状態は判断できません。

また、輸送中に激しく揺れると、嘔吐します。
そうなると、当然袋の中の水は大変汚れ、死んで溶けかかっているのでは?と驚かれると思います。
しかし、嘔吐と死ぬ時になる体や内臓が溶ける事とは全く違いますので、混同しやすいですが注意しなければいけません。
すべて吐ききるまで相当吐きますが、吐ききるとすっきりするのか何事もなかったかのようになりますので、慌てずそれまでは水槽には移さずにバケツなどで強めのエアーレーションをしながら養生し、吐ききるまで換水を繰り返すと良いでしょう。

嘔吐物は、活虫藻と糞であることが多く、輸送のストレスで体内に共生している活虫藻と糞を吐き出します。
活虫藻と糞の混ざったものを吐き出すことは、海中や飼育下でも行われている生理現象で異常なことではありません。
海中や水槽内と比べて、袋の中の水量はごく少量の為、大変汚れてしまいます。



●イソギンチャクと魚類(クマノミ類以外)との混泳について

イソギンチャク自ら積極的に混泳魚を襲うことはありませんが、イボハタゴとハタゴは、刺胞毒・触手の粘着力が強いので、魚類や甲殻類が誤って触手に接触すると刺胞毒を打ち込み捕らえて食べてしまうことがあります。
驚いたり、ケンカなどで突発的に逃げ惑った際に接触する事や、夜間イソギンチャクが移動し岩陰で寝ている混泳魚が偶然襲われる事もあります。

その他の種類のイソギンチャクが混泳魚を捕食するのを見たことがありません。
イボハタゴとハタゴに比べて刺胞毒/触手の粘着力が弱いので、捕らえるほどではないですが、触手に接触すると刺胞毒を打つ危険はあります。



●違う種類のイソギンチャクは一緒に飼える?

「イソギンチャクどうしが、接触しなければ、どんな種類のイソギンチャクでも、同じ水槽で飼えます。」

種類のよって生息環境は異なりますが、水質/水温は同じでもよいでしょう。
光量や水流はそれぞれの種類の好みに合わせるようにすれば良いと思います。

同種同士であれば、接触していても、まあまあ大丈夫です。
ハタゴとイボハタゴのように異種でも接触していても、まあまあ大丈夫な組み合わせもありますが、
長期間にわたり、常時接触していると、良くありません。
やはり、刺砲毒の強い個体が勝り、弱い個体が弱りますし、強い個体もダメージが多少きます。
(タマイタの分裂個体同士は例外で、接触しても平気)



●ライブロックのキュアリングについて

ライブロックに付着している生物の中で、
[輸送ダメージや飼育環境の変化によるダメージからの回復が見込めない生物]を、取り除く作業がキュアリングです。

ライブロックの価値は、様々な海産動植物が付着していることにあります。
多くの場合、キュアリングをすれば、有益な生物までも取り除かれてしまいます。
ですので本来、キュアリングが必要とならない事が重要で、キュアリングはしないほうが良いのです。

[キュアリング済みとして市販されているライブロック]は、[回復が見込めないほどダメージを受けたこと]と[有益な生物までも取り除かれている可能性があること]を自虐していると言えます。

[ライブロック(生きた岩)]の対義語に[デットロック(死んだ岩・ただの岩)]という言葉がありますが、キュアリングをすればするほどデットロックになっていきます。

当店のライブロックは、通常、キュアリングは不要です。

【美ら海熱帯魚 自社生産  最高品質 養殖ライブロック】



●ライブロックに潜む、カニやシャコなどの害生物の駆除について

ライブロックの隙間には、同居する魚類や貝類を捕食する招かざる生物が潜んでいることが良くあります。
水槽導入後に駆除するのは厄介なので、導入前に駆除するのが望ましいです。

駆除の仕方には様々ありますが、隙間を丹念に調べて見つけたら引っ張り出す。
引っ張り出せない場合は、押しつぶすほかないでしょう。

シャコの仲間は駆除したほうが良いです。
カニの仲間には問題ない種類も沢山いますが、区別は難しいでしょう。



●ライブロックのレイアウトについて

■水流が行き渡るように
・岩と岩の接点をできるだけ少なくする方が良いでしょう。
・空間をできるだけ大きくする方が良いでしょう。
※小さな隙間はかえって水流が滞りやすいです。

■崩れないように
・軽くて固いものが良いでしょう。
・砂に埋まる部分は岩組の基礎となる部分なので、しっかりとしたサンゴ岩や【自社製人工サンゴ岩】が良いでしょう。
※アクリル棒製の土台などは、よほどうまく使わないと、地震には頼りないと思われます。

■裏表を間違えないように
・当店の新鮮で良質なライブロックは、明確に[裏と表]の区別が可能ですが、一般に流通しているもので[裏と表]を意識してストックされているものは少ないと思われます。
・[裏]と[表]とでは光の当たり具合が異なるので、付着する生物が異なります。
光がより良く当たる[表]には、光を好む海藻類やコーラル類の幼生などが付着します。
[裏]には、強い光を好まない赤い被覆状の石灰藻が付着します。
・積み重ねるように組み上げていく構造上、[裏と表]を正確に守っていくのは困難ですが、できる限り[裏と表]を守って組み上げる方が良いでしょう。



ソフトコーラルの種類と飼育について

ソフトコーラルは、似たような種類が沢山いますし、同種でも生息環境によって容姿や色が異なりますので、当店では正確に分類はしていません。

当店での飼育に関しても、どの種類もほとんど同じ飼い方をしています。
スターポリプやツツウミズタは、光や水流は、強めが良いですが、強めでなくても飼えます。
ウミキノコやトサカは、光や水流は、強めでないほうが良いですが、強めでも飼えます。



●イソギン・シャコガイ・ソフトなどのバリエーションについて

イソギンチャクとシャコガイにおいては、カラーバリエーションと生息環境には関係はないようです。

例えば、イソギンチャクのカラー個体とノーマルの生息環境は同じです。
カラー個体が深場に多くて、ノーマルは浅場に多い・・・などという事はありません。

シャコガイもいろんなカラーが混在して生息しています。
例えば、この辺りの海域はブルー系が多くて、あそこはブラウン系が多いとか・・・そういう事は全くありません。
イソギンチャクやシャコガイなどは、採取した場所が全然違う個体を混ぜてストックすると、どれがどこで採取した個体なのか、全く見分けがつかなくなります。

ソフトコーラルは、
例えば、同じウミキノコでも、流れの強い所に生息している個体群は、背が低く幹が太くがっちり活着して強い流れに対して負けないようにそれに適した体型・容姿になり、
流れの弱い所に生息している個体群は、その逆になる・・といった傾向があります。



●ソフトコーラルのポリプについて

ソフトコーラルのポリプは、開いたり閉じたりを繰り返します。
意外に思われるかも知れませんが、
海中では、開いている個体と閉じている個体の比率は半々ほどだと思います。
群落の個体すべてが、満開していることが珍しいくらいです。
閉じている個体も、その時たまたま、そうであったのであり、状態が悪いような様子は全くありません。
種類によっては、晴天下では閉じているが、曇天や日の出頃や日の入り頃の光を好み開くものもあります。



●イソギンチャク/ソフトコーラルの水流について

水流にはコツがあります。
水槽では再現しにくいですが、川の流れような一方的な流れではなくて、寄せては返す海の波の動きが再現できたら理想です。

水流の強さは特にサンゴやイソギンチャクは強めがいいです。
常に少しプルプルフワフワ揺れている感じです。
水流が合わないと移動できないサンゴ類は、調子が上がりません。
イソギンチャクは移動できるので、移動先の水流がどんな感じかで、好みの水流の強さが判断しやすいです。

でもサンゴ類の水流に合わせると、小型魚にはちょっと強すぎなことが多いです。
いつも、流れに逆らったり、流されて戻るような泳ぎ方は、海中の様子と比べると大変そうに見えます。

飼育の3大要素?「光/水質/水流」の内、水流が最もおろそかになりがちですけど、大事です。



●シャコガイのレイアウトと活着について

海中でのヒメジャコガイとシラナミガイは、
外敵から身を守るために、自ら出す酸性の物質で岩を溶かし埋没して生息しています。

流通している天然物は、岩から取り出して採取されています。

普通の二枚貝のように隙間なくピッタリと殻を閉じることができなく、閉じても裏側に隙間があります。
その隙間から、足糸を出して活着します。
岩から取り出された状態では、隙間が無防備になります。
その裏側の隙間から、襲われないように、岩などに活着させなければいけません。

裏側の隙間を隠すだけなら、砂に埋めても良いではないか?とも考えれますが、
襲ってくるのは、魚やカニだけではなくて、砂中のゴカイ類のようなものが悪さをする場合がありますし、
砂には活着できないので不安定ですし、開閉の勢いで巻き上げた砂が被さりやすい等で、砂の上にレイアウトするのはよくありません。

隙間を岩などで塞いでおくと、半日程度で、くっつき始めます。
ある程度しっかり活着するまでは取れやすいので、小石なので軽く固定しておくと、一週間もすれば、しっかりと活着します。

レイアウトの変更等で移動させたい場合は、活着を剥がすのではなくて、活着している岩ごと動かしてください。
レイアウトの変更の事も考慮して、どの岩に活着させるかを決めると良いと思います。

ヒレジャコとシャゴウガイは、活着させなくても大丈夫です。

強い光を好みます。
他の貝類のように自分では移動できませんので、サンゴのなどの日陰にならない場所にレイアウトしてください。

天然/養殖とも飼い方は同じですが、
養殖物の3cm以下のようなベビー個体は、やはり弱いです。
そのようなサイズの個体も市場に流通していますが、生存の分かれ目サイズなので、割安で販売されているようです。

当店ではそのようなベビーサイズの個体は販売していません。
児童くらいに育ててから販売しています。



●海藻/海草について

「海草」の飼育は簡単ですが、思ったようには増えませんので、水槽に藻場を再現したい場合は、最初からある程度密に多めに植えたほうが良いです。
海草は内側から新芽を出し一番外側の古い葉が落葉し、頻繁に葉が入れ替わりますので、一番外側の葉は傷んでいることが多いですが心配ありません。
芝生のように砂中にランナーを伸ばして増えます。

ヅタ類の「海藻」は、環境がマッチするとすごい勢いで増えます。
昆布やワカメや海苔もそうですが、海藻は通年同じように繁茂していることはなく育つ時期があります。
水槽内は通年ほぼ一定の環境なので、海とは違いますが、習性としていきなり「ひとつながり分」が枯れることがあるので、ランナーを適当に切り分けておくと良いです。
切り分けても活着させるのは簡単です。小石などで軽く押さえておけば、数日で活着します。

ヅタ類の「海藻」のランナーから生える枝葉の背丈や間隔は、生育環境により大きく異なります。
海中では、新芽が食害されたり波や水流が厳しいので、枝葉の背丈は短く、間隔は狭くなることが多いですが、
水槽内では、枝葉の背丈は高く、間隔は広くなることが多いようです。

植物はチッソ・リンなどの栄養塩を栄養元にして成長します。
枯れ葉や伸びすぎた分を水槽から除去すれば、結果的に水槽内の栄養塩を減らし水質を浄化していることになります。
水槽内の余ったスペース・濾過槽・サンプ内にでも、とりあえず入れておくだけでメリットがあると思います。
海では枯れ葉は、微生物が分解し自然に帰ります。



●コケ取り貝について

一番よくコケを食べてくれるのは、ニシキウズガイです。
タカラガイやカノコガイは体が小さいのでそれなりにしか食べられないという感じでしょうか?

ニシキウズガイによく似た貝で、シッタカという貝が流通してますが、温帯系の貝で、熱帯~亜熱帯環境の水槽内では長生きしません。

通常はショップのように多数のクリーナー生物をストックしていると、水槽内に発生するコケや残飯だけでは、栄養不足になります。
当店では、おろそかに扱われがちなクリーナー生物にしっかりとエサを食べさせています。

クリーナー生物は、「どこで買っても同じようなものだろう」と思われがちですが、そうでもありません。



●底砂の掃除役について

自然の海は良くできていて、
魚類やコーラル類といった主役の陰で、主役の数とは比較にならない位に沢山の様々な種類の脇役である【掃除生物】が活躍しているおかげで、主役が生存できる環境を保っています。
海中は掃除生物だらけです。

底砂の掃除生物として、ナマコ類/マガキガイ類/ムシロガイ類/ヤドカリ類/二枚貝類と色々扱っていますが、これでも海の多様な掃除生物のほんの一部にすぎません。



●水質浄化生物について

二枚貝の海水浄化
【ウミギクガイ・クロチョウガイなどの二枚貝類】は、海水を浄化する働きがあります。

その仕組みを簡単に説明しますと、
「フンや残りエサなどを二枚貝類が食べる。」
または、
「フンや残りエサなどはろ過バクテリアによって栄養塩となる。」
「その栄養塩と光で、植物プランクトンが増える。」
「その植物プランクトンを二枚貝類が食べる。」
結果↓
「フンや残りエサなどは二枚貝の栄養/体となる。」
「富栄養化(栄養塩)の抑制/透明度の向上/コケの抑制」



●底砂の撹拌について


底砂の撹拌の重要性を解説する為の、極細の砂で構成される藻場の画像です。
山のような物のは、砂中に棲む生物の巣穴です。(おそらくアナジャコ類の巣穴)
嫌気層より掘り出されて間もない頂上周辺の砂は黒っぽい色をしています。
掘り出されしばらくすると、好気性の砂になり白くなります。
この山は、水流によって崩れ、生物はまた新たな山を築きます。

このように海底の砂は、常に生物や波・水流により撹拌され少しずつ嫌気層と好気層が入れ替わっています。

水槽内の底砂も【砂中に潜って移動するタイプのクリーナー生体】を導入して撹拌させましょう。
水槽でよく用いられる極細の砂は通水性が悪い上、撹拌が不十分で表層まで嫌気化しやいです。
表層まで嫌気化すると、嫌気層に溜まったよくない物が、僅かなことで一気に放出されやすくとても危険です。



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